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「…え?」
頭を撃ち抜かれた元兵士の近くにいた事態を呑み込めない兵が、反射的にそう言った。
タンッ、タンッ。
今度は二発、彼にも撃ち込む。今度は見間違いようもない、事実だった。上官の持っている銃口からは煙が溢れ、彼の部下らは顔が破裂したリンゴのように潰れている。覚めたかのように、その場の全員が携帯していた銃を取り出した。
ジョゼ「オイッ!んだよコレッ!!」
ケリー「知るかよっ!!こんな事オ…ヴェッ。」
しかしその判断も遅すぎた。彼らの後方からは無数の銃声が聞え始める。
ジョゼ「ケリーッ!嘘だろっ?!ケリーッ!!」
倒れ込むケリーに近付いたジョゼにも、例外なく弾は胸に三発貫かれた。尋常ではない血液が弾痕から溢れ、やがてジョゼは絶命する。一面に響き出した悲鳴の後ろからは、頭部にガスマスクを被った重装兵が次々に現れた。一つ、また一つの悲鳴を創りながら。
上官「残党及び動員兵を全て殺せ。誰一人生きてここから帰すな。」
見事なまでに彼一人だけを円にして、他は死んでいく。濁った雨に再び鮮血が大地へと染み出し、血肉は土へと還ってゆくのだろうか。
薄れゆく意識の中で、ヘリの外では惨殺劇が淡々と繰り広げられる。やがてヘリのドアは勢いよく閉じられ、僕は意識を、止めた。
それが僕の、ハジメの記憶。
硝煙漂い死を摸すこの地で、僕は生まれた。
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