序章~最果ての記憶~

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        臭い。   硝煙の匂いがする。 その匂いに、微かに血の匂いが混じっているのが判る。     瞼の外が白い。その先の世界は明るい情景が広がっているようだ。   やけにひっつく瞼を、眩しさに耐えて瞳を世界へと向けた。ペリベリッ、と何かが剥がれたようだが、まだ焦点が定まらないので、それが何なのかは判らない。     開いた瞼から指す光は、濁っていた世界をだんだんと現実へと還り、僕に世界を映し出す。         眼前に広がる世界には、終焉が横たわっていた。  
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