序章~最果ての記憶~

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体を休ませていると、またいろんな事を考えてしまう。見つかるハズもない疑問が次々と浮かんでは頭の中を通りすぎていく。 (なんでみんな死んでるんだろう…。なんで俺だけ生きてるんだろう…。なんで…なんで…。) 疑問は疑問を起こし、無限に連鎖して僕の体中にまとわりつく。それらは色々な感情へと変化し、不安、恐怖、孤独感、そして、絶望といった類の負の感情を沸き起こしてくる。思わまいと考えれば他の疑問が沸き、考えまいと思えば不安がよぎる、というような悪循環が生まれてしまった。暫くは、この状態が続きそうである。 (なんで…俺だけがこんな目に合うんだ…!…なんで…、もう…帰りたい…、帰ってご飯を食べて、そして…、) ふと、何か違和感を感じた。気になって辺りを見回す。先程と何も変わらない、屍の大群が大地を覆っているだけの情景、だ。 (…な、…んだ、この違和感…。…俺、…何か…忘れてい…) 再び脈拍が早くなる。心臓の鼓動が、だんだんと大きくなる様が自分でよく判る。 (…ココはどこだとか、問題じゃないぞコレ…。畜生…!…なんだ?!何で…、俺は) 思わず立ち上がり周囲をうろつく。先程と何も変わらない、屍の大群。空腹からなのか、少し目眛がしたがそれどころではない。次第に手に汗をかいている事にも気づいた。そんなどうでもいい事に自分の仮定から逃げ出したかったのか。 しかし、僕は"思ってしまった"のだ。もう、変えようのない真実になりつつあるこの仮定。僕は、もう一度だけ、自分の仮定を繰り返した。 (俺は……誰だ?)
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