思い出

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 山田が小学四年生の頃、田所君という同級生がいた。  田所君の親は転勤族だったのであちこち転校を繰り返していた。山田のクラスには夏休みが終わった後編入になったのだが、少し引っ込み思案な性格でなかなかクラスに馴染めずにいた。  休み時間にクラスメート達が教室から遊びに出て行ってしまった後に山田と二人でポツンと取り残されていることも多く、自然と少しずつ話しをするようになった。  内気な山田少年には初めて出来た友達だった。田所君も多分心強かった事だろう。  そんなある日の事だった。山田の家に田所君が遊びに来る事になったのだ。友達が家に来るなんて初めての出来事で山田は有頂天になっていた。  最初は家で田所君を待っていたが、遊びに来る約束の時間が近付くと山田は待ち切れなくなり、迎えに出掛けた。
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