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「ま、待て!貴様は自分が何をしてるのか分かっているのか!」
分かってなきゃこんなに必死に逃げないっつーの。
領主様の宝物を盗んだんだ。
捕まったら確実に処刑だろうな。
「もうちょい飛ばす。しっかり俺を掴んでろ」
振り返って競争相手を確認。
……あっちは自動でこっちは足漕ぎって設定らしい。
激しく揺れる自転車の荷台で、バレッタが不安そうに小さく震えていた。
「…………」
「少しは信じろよ。二人で絶対逃げ切るって、約束したろ?」
下は不安定な砂利道。
後方から猛スピードで近付いてくる四、五台の車。
希望なんて曖昧なモノを見つけるのには、結構酷な状況だった。
どうすりゃいい。
このままだとすぐに追いつかれてしまうだろう。
それが分かっていても、打開策なんか見つからない。
ひたすら走って、ひたすら逃げて……。
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