12人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「二人で一緒に」
突然、バレッタの小さな声が聞こえた。
小さいけれど、何だか力強い声が。
「自由を、掴むために」
ばさっ
今度は羽音。
大きな鳥が空を優雅に羽ばたく、そんな感じの音がした。
「バレッタ、お前」
ばさっ ばさっ
音は何度も何度も響く。
「やめろ!貴様は鑑賞用のペットなんだぞ!羽が散ったら、毛並みが悪くなったら、世話係の私が打ち首にぃぃぃ」
彼女の自由を奪った張本人が、彼女の意思で、本来の役目を果たそうとしていた。
鳥が飛ぶのが当たり前のように、有翼人が飛ぶのもまた……当たり前の事なんだ。
「……ちょっと、飛ばすよ。しっかり私に掴まれてて」
こんなに生き生きした彼女を見るのは初めてで、言ってる事も何処か変で。
俺は、つい今の状況も忘れて笑ってしまった。
「くそっ、待ちやがれ!貴様ら、絶対ぶっ殺し……」
どんどん声が遠くなっていく。
どんどん奴らが豆粒みたいに小さくなっていく。
「重く、ないか?」
ばさっ ばさっ
男を一人抱えているのに、バレッタは辛そうな顔もせず、寧ろ楽しそうに羽ばたいていた。
「大丈夫。何処までも。飛べる気分」
ばさっ ばさっ
ばさっ
最初のコメントを投稿しよう!