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「まぁなんだ、あまり気にしないでくれ」
そう濁される。
元々興味の無い僕はそれ以上何も言わず、ただ彼女を見ていた。 年齢も随分と若く見える、ますます名札が疑わしい。
もしやどっきりでも仕掛けられているのだろうか?、あるいはそれが面接試験なのだろうか?。
僕はそれとなく部屋を見回し、カメラを探してみる、が、素人目に分かるものとも思えない。
あまりじろじろ見ても怪しまれるだろう、仕方ないので早めに諦める事にした。
「さて、肝心の面接だが……」
彼女は肘を机につきながら、僕を眺める。
「こちらとしては別段聞く事も無いが、君はどうだね?」
それはもはや面接の放棄とも取れる発言だった。
その真意ははかりきれないが、今が面接中であることは間違いない。
そういう今の条件を鑑みれば、もはや決定的なミスを犯している可能性もある。
実はこの人は愛想笑いが嫌いで、先刻の僕のそれを見て不採用を決めた、とか。
あるいはこの人は実は社長では無く、それを見抜け無い人物は不採用にしている、とか。
気持ちは焦るが、ならばいっそ焦る必要も無いのかもしれない。
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