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それにそうすれば仕事もしなくて良いだろうし、後は家に帰って一息ついて、そして……。
そして僕はどうするのだろうか?。
落ち着いて、仕事が無い現実にぶつかるのか?。
そうしたらまた仕事を探したら良いのか?。
結局、どこに行っても同じ事だ、僕はこんなだから、必要とされない。
何が今必要か分かっていないから、必要とされない。
「あ、あの」
僕は力強い静寂から、なんとか這い出る。
「……?」
鋭い瞳に少しずつ、自分から刺さりに行く。
「教えてください」
そう吐き出して、彼女の様子を伺う。
「…………」
暫く硬直したまま睨み合って、その後に彼女が動いた。
「そうか」
口元がそう紡いで、ニヤリと歪む。
瞬間、僕の脳裏には疑問が浮かんでいた。
これが、僕の望んだものなのか、と?。
彼女の笑みは決して優しくは無かった、むしろ面白がる様な、邪悪さすら感じるものだったのだ。
「後悔するなよ?」
続けてそう確認されて、既に少し後悔する。
けれど現状を変えるには、ここで戻っても意味が無い。
「えぇ」
苦し紛れに同意して、何とかポーズを保つ。
そうして僕は、普通の裏側に潜り込んだ。
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