沙新-さあら-

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  電車は何本も通過した。 沙新はいつか一歩踏み出すのではないかと期待した。 通過するたびに音が響き渡り風が舞う。 音が聞こえる。 物が聞こえる耳がある。 風が舞うのを感じるのは生きてる証。 それって幸せな事かもしれない。 道草でネコが毛繕いをしている。 可愛い。 思わず顔が緩む。 空が広い。 当たり前だが広い。 あの山の向こうには何があるのだろう。 沙新は遥か彼方にある山を見ながら思った。 疑問。 それは生きている証。
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