鴉(からす)

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  踏切の前で立ち尽くしている沙新。 良かった。 生きている。 そう思い私は胸を撫で下ろした。 私は偶然を装い沙新に話しかける。 「沙新?何してんの?」 沙新はびっくりした顔で振り向いた。 「生きてる喜びに浸ってた。」 無理して笑顔を作っているのが痛いほどわかる。 「あほか」 私はいつも通り気付かないフリをして突っ込む。 私と沙新は笑った。 その瞬間涙が沙新の頬を濡らした。
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