沙新-さあら-

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髪の毛が抜ける。 そんなのお構いなしに父親は強く髪を引っ張る。 「親は子供を選べねぇんだよ」 耳元で大声で怒鳴った父親。 沙新は涙が止まらなかった。 父親は沙新を壁に叩きつけ リビングを後にした。 急に静まったリビング。 残るのは痛みだけ。 「私だって好きでこんな家の子に生まれた訳じゃない」 面と向かって言えない悔しさが胸を締め付ける。 時計の音がやけに大きく聞こえた。
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