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芹沢が出ていった足音が遠ざかるのを確認すると、弥生を始め藤堂や永倉はずずいっと土方に寄った。
「土方さん!なんで早崎を芹沢さんなんかに…!?」
『何が何でこんな話しになったの?!おれ、どうなるわけ?!』
「俺の失態のせいだろ?!俺が芹沢さんに謝るからさっ、早崎の小姓、取下げてよ!」
三人、ほぼ同時に放つ言葉に土方は、嫌そうな顔を反らし、腕を組む。隣の沖田は味噌汁が入っていた碗を持って部屋から出て行った。藤堂がそれを見終わると悔しそうに呟いた。
「大体…なんで総司、あんな言い方すんだよ…!訳わかんねぇ…」
「……とにかく、早崎。お前、芹沢さんから離れるな」
『…は??』
「ぬぁあに言ってんだよ土方さん!あんな野郎の世話をこんな可愛い奴がしたら、逆にムラム」
ゴッ!!!
永倉の顔にお櫃がめり込む。
飛んできた方向を見ると、涼しい顔でお茶を飲みながら投げた手を引っ込める斎藤の姿が…。
「…発言がぎりぎりだ…気をつけるんだな」
「……っ…………」
血が出る鼻を押さえては睨みながらもコクンと頷く永倉。
土方はため息をついて弥生を見た。
「出来るだけ相談は乗る。何か合ったら平助に言え。全部。今は黙って従え…いいな」
『そん…っ……わかった』
大人しく返事をすると自分の席に戻り、食事を再開する弥生。藤堂は土方にコソッと聞いた。
「そりゃ、助けたり相談に乗ったりするけどさ…なんで…全部、俺??」
「…暇だろ」
何故か聞いた事を後悔した気持ちが大きくなる。
これ以上は聞いても虚しくなると悟り、渋々と自分の席に戻った。
「早崎、ヤバいって感じたらすぐ俺のとこに来いよ??」
『え…う、うん…』
隣に座った藤堂の真剣な眼差しと言葉に思わず頬が赤くなった。
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