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すると、いきなり障子が開き弥生が入ってきた。
「お。さっきと変わらねぇなぁ」
「左之さん…着替えたんだから、当たり前…」
苦笑いする藤堂を見ては、視線が流れてしまう。場所は…沖田だった。
ちらっと見てはすぐに視線を泳がせるの繰り返しになってしまう。
だが…広間に戻って、周りが何も言わないのは…ばれていないと再確認できた。
安心するのもつかの間だった。土方に声をかけられるまで…。
「早崎。とにかく、芹沢に気に入られとけ。いいな、ダメだと思ったら……まぁ、どうにかしろ」
『具体策を言えよ…』
先程からの土方の視線もそうだが…余程、芹沢が気に入らないらしい。
弥生はもっと別の意味があるんじゃないかとも感じとっていた。
「…さっさと、芹沢さんの所に行きなさい。後、臭い」
『だぁから!!気のきいた言葉の一つくらい言えっての!これだから新撰組は…!』
「新撰組??」
沖田にがっついてしまったのか、熱くなってつい出てきてしまった単語。
キョトンとした顔で藤堂が聞き返すと、全員の視線が弥生へと向けられた。
『………えっと…何だろうね??』
「お前が何なんだ…。くだらねぇ事、言ってねぇで早く行け」
僅かに土方の額に青筋が立ちはじめる。弥生は慌てて広間を飛び出した。
『いろんな意味で危なかったぁ……っ。…まだ、浪士組なんだった…でも、確かもうすぐ新撰組になるんだから…いいよね…』
一人、納得しながら廊下を歩いた。ふと夜空を見上げれば、少し欠け始めた月が雲に隠れ始めている。
『…あたし…どうやって元の時代に戻れるんだろう…』
連れて来られた形に近いのに、方法などあるのだろうか…。
そんな事を考えているとある事に気づき、立ち止まった。
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