第六話 柵の中 悔しさの拳

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苛々とムカムカで体を起こすも何故か昨日の事が思い出せない。 のそのそと布団へ戻った。 しかし、そうはさせないのが平山だ。 弥生が入る前に布団を剥ぎ取った。 反射的に身を縮ませて平山を睨む。 『………何でいるの…??』 「ここは私の部屋です」 平山の話しもそんなに聞かず、朝も早いと思っていたが、全く肌寒くない。 『…今…何時…??』 「もう正午です。芹沢先生は就寝中ですから、風呂にでも入ってきなさい」 『てか平山さん……今、お腹踏んでた…??』 変にぼーっとする頭を支えるように弥生は額を押さえ、テキパキと布団を片付ける平山を見上げた。 「踏まれたくなければ、一回で起きていただきたい」 『普通に起こしてよ!!危うく内臓出て死ぬわ!!!…~っ…ぐえ!!』 大声を出すと頭に鈍い激痛が走る。平山から気にしないかのように襟首を掴まれると、ズルズルと障子まで連れて来られ…追い出された。 『人をゴミ扱いすんな!!』 「私もこれから寝ます。夕方には芹沢先生も起きられるでしょう。君は身なりを整えなさい」 言い終わると、ピシャリと障子を閉めた。 弥生はア然として閉まってしまった障子を見つめながら、固まってしまう。 廊下をトボトボと歩き、自室を探す弥生。 「…あ。早崎ー!」 『平助くん、左之さんっ』 前方から声を掛けられれば、明るい顔になった。 「お前、大丈夫か??」 『大丈夫なわけないよ!!起きたら何故か平山さんの部屋で、お腹踏まれてたし、お風呂に行けとか言って部屋から追い出されるわ…踏んだり蹴ったり!!』 「でーも確かに風呂に行った方がいいぜ??」 苦笑いする藤堂の言葉に怒り顔から、キョトンとした顔になった。 「お前覚えてないのかよ??昨日の夜更けにお前、ベロンベロンに酔っ払って帰ってきたんだぜ??」
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