第六話 柵の中 悔しさの拳

10/31
前へ
/146ページ
次へ
『……え…??』 原田の補足に驚いていると… 「おまけに土方さんに泣き虫野郎ー!!…って叫んでたぞ」 と、笑いながら後ろから永倉がからかってきた。 その言葉に弥生は慌てて永倉を見上げた。 『うそ!!?』 「うっそー!なぁっはっはっはっはっ!!ゴヘッ!!!」 腰に手をあて、涙目になるほど笑う永倉に高速の如く、弥生の拳がお腹に入る。 永倉は疼くまった。 「それはそうとさー…早崎、お前、ほんとに風呂に行った方がいいぜ??」 「確かにな…酒と味噌が混ざったにおいがすげぇ…」 苦笑いする藤堂と原田。 ショックを受けた弥生は永倉と一緒に疼くまった。 (未成年でお酒を飲んだ上に左之さんに臭いって言われるなんて…!!確かに味噌汁、被った時にもお風呂入ってないけどさ…!でも……!!お母さーーーん!!!) ヨロヨロと起き上がり、ちらっと原田を見つめた。 この悲しい気持ちは、お湯と共に流そうと思う弥生は、早速聞いた。 「…??」 『……お風呂場ってどこ??』 「風呂は、風呂屋に行けよ。ここにはないぜ??」 原田からの信じられない言葉に弥生は固まった。 「俺が一緒に行ってやるよ!場所、知らねーだろ??」 「なら、平助と風呂、入ればいいじゃねぇか」 「うん!俺、さっき稽古してたから汗かいてんだ」 ハッと我に返れば、勝手にいろいろと決まりつつあっていた。 疼くまっていた永倉も起き上がり、無言で挙手している。 「…んだよ…??新八まで入んのか??」 『お、おれ!!風呂は一人で入りたい派なんだ!!!』 苦し紛れな言い訳…。 三人は弥生の大声にピタッと止まるも、すぐに笑い出した。 「お前っ、あはは!ガキか!!」 「残念だけどな~…いくらお前でも、男の裸なんざ………………」 馬鹿にする永倉の頭の中で、けしからん妄想が過ぎる。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

740人が本棚に入れています
本棚に追加