第一章

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東京の郊外、商店街の中程の小さな交差点の一画にその真四角な空間はあった。 周辺にはツツジや紫陽花、木蓮などが植えられ季節季節に街の人達の目を楽しませ、また買い物帰りの憩いの場にもなっている。 10m四方のこの小さな憩いの場の真ん中には日陰を作るように樫の木がそびえ立っている。 樹齢何年かなんてわからない。ただ近所のお年寄りが子供の頃からそびえていたそうだ。 初夏を迎えるこの季節。 ツツジが赤々と萌え、やがて有珠紫の紫陽花が花開くだろう。 そんな街にあの少年は現れた。
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