第一章

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夜も九時過ぎ、五月というのに昼間は夏のような陽射しだった。 商店街の近くに住む七十歳くらいのおばあちゃんは、この時間に犬の散歩をするのが日課だ。 商店街は夜でも灯りは点いているし、駅から近いこともあって人通りもそこそこにある。 おばあちゃんは商店街を抜け、樫の木のある所で帰るのがいつものコース。 樫の木のあるところは灯りはあるものの薄暗いからだ。 でも、今夜はなぜか犬が樫の木に行きたがり、引っ張られるように来てしまった。
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