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夜も九時過ぎ、五月というのに昼間は夏のような陽射しだった。
商店街の近くに住む七十歳くらいのおばあちゃんは、この時間に犬の散歩をするのが日課だ。
商店街は夜でも灯りは点いているし、駅から近いこともあって人通りもそこそこにある。
おばあちゃんは商店街を抜け、樫の木のある所で帰るのがいつものコース。
樫の木のあるところは灯りはあるものの薄暗いからだ。
でも、今夜はなぜか犬が樫の木に行きたがり、引っ張られるように来てしまった。
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