第一章

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「タロウ、帰ろうよ」柴犬のタロウは、おばあちゃんの言うことも聞かずに商店街の通りからは見えない、樫の木の裏側に引っ張っていく。 鼻をクゥクゥ鳴らし始める。「タロウ、帰ろう」 もう一度声をかけるとタロウはベンチのところで止まった。 タロウの頭に小さな手が伸びて頭を撫でる。 「誰だい」 おばあちゃんが声をかけながら、おそるおそる樫の木の裏を覗くとベンチに小学一年生くらいの男の子が座っていた。
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