始まり

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12年前の6月。 小雨の降る、赤い屋根の保育園で、初めて君と会った。 母さんが亡くなったばかりの僕は、友達の前では平気なフリをして、よく裏庭にいた。 『お母さんが亡くなったって言うのに、涙が出ないなんて…おかしな子ね』 心無い保護者の言葉。 父さんを困らせたくなくて、登園時は何時も笑顔で手を振っていた。 そんな僕は、他人から見たら奇異だったのだろう。 .
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