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顔が青くて ハァハァ言いながら勉室のドアを勢いよく開けてわたしに近づいてきた。
「怖いよ・・・春。」
電気の消えた勉室に体を崩し落ち着きを見せた。
机の上の小さな電気を全部つけ少しはマシになった。 開けっ放しの窓からなま暖かい風が入ってきた。 「閉めますね。」
窓に手を掛けた。
「夜中に咲いた花桜
シマサキ先に宿に
着く。」
凜とした小さな声が聞こえた。「えっ?!!」
上の方を見上げると
「ひいらの岩の影の人」
一瞬止まったように見えた。 目が充血して髪が背中までありそうで 青白く唇から血を吐いていた女の人がまっ逆さまに落ちていった。「今の誰?」
見ない顔、自殺じゃないよね? んじゃ誰???
確か机の引き出しの中に懐中電灯があったはず・・・
すぐに取り出して光を下に向けた。体を窓から乗り出して探す。 冷や汗が一滴二滴と額を流れる。
どこにもいない。もしかして屋根?と思い屋根を照らす。何処にもいないじゃん。先輩も怖がってるし、諦めて窓を閉めようとする時だった。 ドォン
ペタッ。
真っ赤な色した掌が窓にくっついていた。えっ・・・ 先輩は半泣きになり
その場を動けないと叫んでいた。くっきりとした手形。怖くなってこの部屋を出たかった。
おそるおそる窓の向こうに目をやると誰か乾燥室、洗濯場に行く人影が見えた それはあまりに小さく
人のようでもなかった。
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