ある種の神童

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"俺の親父は神様だった。" 何も知らない人に対してこんな話をしても、大抵は頭が変か、それとも嘘つきかのどちらかにしか思われないだろう。 かくいう俺にとってももちろんこれは信じ難い事実であった、面白くもない冗談で済ましたかった、だが事実だという事に悩み苦しんだ。 「お兄ちゃん、そんなところでサボってないでお墓の手入れ手伝ってよ~!!」 「おぉ、悪い悪い今やるよ。」 でもいつの間にかそれは苦しくなくなっていた、むしろそこに温もりを感じていた。 その温もりに何度も救われた、何度も何度も何度も………俺は救われ続けた。 でも俺は温もりを救えなかった、いや、救えたのかもしれない……それは本人にしか分からない。 「親父、元気かな…。」 「お兄ちゃん、お父さんは多分空の向こうで元気にやってるよ♪」 「あぁ…そうだな。」 結局親父が消えたあの日以来、一度も会ったことも見たことも音沙汰もない。 それにつけて俺が親父を殺したとまでは言わないが、だが俺が親父消失の一因となったのは間違いないのだ。
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