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沖田が幼い少女を山の中で見付けた時、彼女はすでに虫の息だった。 腹部にある深い傷からは血が溢れ、冷たい雨のせいで体力は着々と奪われている。 そんな状態だというのに、この少女はよく息をしていたと。沖田は今でも思う。 慌てて医者に見せた時、医者でさえ彼女の生きたいという意思に驚いていたのだから。 『なんとか一命は取り留めました。もう大丈夫ですよ』 医者のその言葉に、柄にもなく喜んだのを今でも覚えている。 目が覚めた晴夜と、朝から晩までずっと話し込んで。それなのに、彼女の信頼を一番に得たのは永倉だった。 沖田だって彼と同じように話していたのに。何故信頼を得られなかったのだろう。 そんな事が、ほんの少しだけだが今でも心に突っ掛かっているような気がした。 「総司?そーじー、起きてるの?」 目の前にいきなり現れた晴夜の顔に、考えは打ち砕かれた。いつの間にか、沖田と永倉以外はいなくなっている。 晴夜を見下ろして、ふと気が付いた。いつの間にか、彼女はこんなに小さくなっていた。 自分が連れてきた時は、沖田と同じかそれより少しだけ大きかったというのに。 下から顔を覗き込んでいる晴夜の顔。あの時から、見違えるほど綺麗になった彼女に。 「起きてます。なんですか、いきなり」 たまに胸が高鳴っている気がするのは、心の中にだけ存在している秘密だ。
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