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「何よ、人がせっかく心配してあげてるってのに」 沖田の放った言葉がどうしても気に食わなくて、晴夜はそっぽを向いた。 視界の端では少しだけ落ち込んだ彼が見える。落ち込むくらいなら言わなければいいのに。 彼はいつもいつも一言だけ余計な事を言うのだから、損をしていると思う。 「あ、そういえば夜に連れて来てたあの人は?」 「さっきまで見てたが、起きる気配はないな」 俯いていた沖田のかわりに、自分のすぐ側にいた永倉が話に入ってくる。彼は何故か、そちらを睨むように見ている。 「なんだよ、総司」 「いいえ、何もないですよ」 明らかに何かあるというような態度をしている彼に、首を傾げる晴夜と永倉。 「なんでもないです。とりあえず、私は稽古に行ってきます」 不機嫌を隠す事もせず、乱暴に歩いていく沖田を見送ってついつい苦笑してしまう。 気分屋で、よく分からない性格をしている沖田。相手にするのは大変だ。 「何よあれ、変な総司。あ、新八。さっきはありがとう、助かったわ」 苦笑に近い笑顔を浮かべると、永倉は優しい笑顔をこちらに向けてくれる。 いつもこの笑顔には癒されているような気がして、こちらも勝手に笑顔になるのだ。 「あぁ、気にするな。いつもの事だろ」 「あら、それはちょっと酷いわよ」 二人で顔を見合わせながら笑い出す。こうやっている時が一番楽でいい。
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