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少女の寝ている部屋から帰ってきた晴夜は、自分用の部屋で暇を持て余していた。 今日は女中の仕事をしなくてもいい為、やる事がない。そうなると暇で暇で仕方なかった。 「なんか、退屈ね」 呟いた言葉に反応する人は誰もいない。当たり前だ、この部屋には晴夜しかいないのだから。 しかしそれがますます退屈に感じてしまう。ちょうどいい暇潰しはあるだろうか。 「……総司、稽古に行くって言ってたわよね」 最近女中の仕事ばかりで稽古に行ってないから、たまには行ってみよう。 久しぶりに沖田と手合わせするのもいい。彼は一応、剣について教えてくれた師匠なのだから。 そう決めて、晴夜は立ち上がる。下ろしていた髪を手際よく一つに纏め上げ、着物から袴に着替えた。 動きにくい服装で道場に行っても、沖田は相手にしてくれない。愛刀である紅月を、部屋の壁に立て掛けたら準備完了。 「総司、ちゃんと稽古してるのかしら」 いつもいつも稽古に出ない沖田の事だ。もしかしたら、今日もいないかもしれない。 道場に行くと言っていても、彼がそれを実行するという事はほとんどないと知っていた。 「まぁ、探すのもたまにはいいかしら」 簡単に見つかってしまってはつまらない。少しくらい、楽しませてくれたらいいのに。 今から沖田を探すのが楽しみになってきて、晴夜は小さく笑みを零した。
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