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彼女の手を引きながら、何を問い掛けるべきか頭の中で考える。 まだ敵か見方か。それさえも分かっていないのだから、油断は出来ない。 無言のまま手を引く晴夜の纏っている違和感に、雛希は気付いているようだった。しかし何も言わない。 確かに、この姿を見ていれば女だなんて分かるはずがない。だから安心しているのだろう。 「ねぇ。案内する前に、聞きたい事があるの」 今まで浮かべていた笑みを消す。すると、雛希も真顔になった。 こちらが真剣に話そうとしているのを、すぐに理解してくれたらしい。 「貴方、女よね?」 目を見開いて固まっている。男装を気付かれない自信があったようだ。 「なんで、それを?」 「だって、私は女よ?それくらい見たら分かるわ」 晴夜と同じような体つきをしている。それに、ここは男ばかりいるのだから。 見慣れてしまっている男性の体つきと彼女の体つきは、驚くほど掛け離れている。 そういう事に鋭い人が見たら、きっと一目で見破られる。今まで気付かれなかっただけ。 「普通は気付かないかもしれないけど、気をつけた方がいいわ」 誰かに話すつもりはないし、女だろうと男だろうと自分には関係ない。 関係あるのは、彼女が新撰組の。そして晴夜達の敵であるか否か。それだけだ。
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