~ぷろろーぐ~でゴザル!!

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漆黒の闇、夜。 今宵は満月だというのに、その月明かりさえその部屋には一寸程に細く、刀で横に切り裂いたような月明かりと、ゆらゆらと影法師を作りながら揺れるろうそくの光が照らしていた。 『…のう、重兵衛よ、俗世は、かつては儂らの憧れじゃった爺さん達が輝いていた戦乱の時代から…異国文化の時代、そして大戦を経て…『こうどけいざいせいちょう』とやらに巻き込まれ完全に成長、もう儂らの時代も…孫達が最後の要となってしまったわい……。』 薄暗い部屋の中に、顔だけが闇に隠れ見えず、衣服は黒い衣装を纏い、あぐらをかいて座る老人の悲しげなため息混じりの声が部屋に響く。 『そう弱音を吐くで無い、儂らはその辛さから耐えて来たではないか…。…しかし…誠、俗世はかなりの変貌ぶりじゃ…。あの徳川達との激戦地、江戸や…豊富の上方までも…。今までこの隠れ里からやむを得ず俗世へと旅立った者達もかなりの数に及ぶ…。…もはやこの隠れ里も…壊滅の危機……。』 同じような黒い衣装の男が悲愴めいた声で呟く。中にはうっうっと涙を流し始める声も、鼻をすするような音さえもしている。 『…重兵衛…なにか策を練らねば…。』 ろうそくの灯かりの先に、立派なまでの長い口ヒゲ、整った白髪を生やし、頭を垂れて深く眉を潜め、瞳を固く閉じる老人が座っている。 今までの男達と同じように黒い衣装に、そこから見える筋骨粒々とした身体は、さすがに老人とは信じがたいだろう。 この老人こそ、服部忍軍、十六代目頭領、 その名も、『服部重兵衛』である。 そしてこの部屋に集まり、寄り合いを開いているのは、この重兵衛に集まるは、かつて闇夜を駆け巡り、時に情報を、時に戦いを繰り広げた軍団達。 そう、前記の通り、服部忍郡、すなわちここの全員が、かろうじて現役の忍者達なのである。 『………Zzz』 『重兵衛…?おい!!』 『…さくらや…儂の…儂の婆さんとの愛の証の『くらすぃっくぷぁんつ』はどこじゃぁ……Zzz』 『更に寝るの早ッ!!もはや夢の中!?しかもクラシックパンツってふんどしじゃろーがっ!!頭領がしっかりせぬとみなが困るではないか!!』 軍団の先頭に座る忍者が見事なまでに現代じみたツッコミをいれる。 『んっ……おぉ…ちゃんと聞いておるぞ。ふむ…明日の晩飯は…』 『違う!!この里の危機じゃと言うのだ!!』 『フォッフォッ、冗談じゃよ冗談、俗に言うじょーくじゃよ、じょーく♪』
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