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あの事件も解決し、無事高校を卒業した私達2人だったが…
「父さん、どういうことですか?」
家に帰った私を待っていたのは、父親の信じられない一言だった
「お前が付き合っている、天城 瑚宵と別れてもぅ二度と関わるな…と、言ったんだ」
父親の言葉に奥歯を噛んだ。なぜ父親が自分達の関係を知っているのか、なぜ別れなければならないのか……答えは簡単だった
「お前が婿入りする、彼岸家とあれ(天城家)は敵対…お前なら解るな」
解りたくない…だが、私の言い分が通る訳もなく、私達は引き離された…
あれから三年の月日がたった。そろそろ彼岸家に婿入りをしなければならないのだが、私の中には瑚宵との約束があった
『必ず迎えに行く、天城家や彼岸家を敵に回しても…必ず迎えに行く、それまで待ってろ』
命令形なのが気に障ったが正直嬉しかった
「(なんて、あれから連絡も寄越さない…全く、何時まで待たせるのやら)」
そんな事を考えながらぶらぶらと街中を歩いている。もしかしたら、会えるかも知れない…そんな淡い期待を胸に抱いて…
「って、私は乙女ではないよ……全く、これ以上待たせるようならさっさと婿入りしてしまおうか…」
「それは困るな…」
「え?」
振り向こうとしたら後ろから抱き締められた
懐かしい香り…瑚宵が好んで焚いていた香の匂い
自然と涙が溢れて来た
「遅くなったが、迎えに来たぞ…雅雪」
「こっ…よみ?」
その時私は、今までで一番幸せだと感じた
待ちくたびれた
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