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「……何だよ?」
「朝の治療の時間よ。」
【治療】
その言葉を聞いた途端に体中から鳥肌が現れ、俺はベッドと反対側の壁まで後ずさった。
「「治療」って…毎日やってるけど無駄だろ!?」
しかし彼女は、俺の必死の懇願にも顔色1つ変えずに俺へと向かってくる。
「そんな事ないわ。あなたには早く克服してもらわなければ困るのよ。…「人肌恐怖症」なんてやっかいなもの。」
「そんな事言われたって無理なものは無理!」
ドンッ
あれ?いつの間にか隅に追い込まれてる?
「大体「人に触られれば気絶する病気」なんて聞いた事ないわ。治療法なんて「慣れ」で克服させるしかないもの。」
「放置しておくっていう選択肢はないのな……」
するととうとう隅に縮こまる俺の肩に、服越しに白く染まる指があてがわれた。
ヤバいヤバいヤバい。もう冷や汗が流れてるんですけど……
クスッ
え……水南が、笑った?
そのことが意外でふと顔を上げた瞬間、おでこを襲う感覚。
この生温かくて、柔らかな感じは……
「……ヒドい顔。」
俺のおでこからゆっくりと唇を離した水南の声を最後まで聞く前に、俺は視界がシャットアウトされ意識が途切れていった。
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