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彼女にとっては、もう慣れてしまった事なので、気にはしてない。
諦めてしまっている、といった方が正しいだろうか。
自分がもう、まともな生活の一つも送る事も出来る事など無いと、そう本能で感じているのかもしれない。
ああ
そして、彼女にはもう一つ憂鬱な事がある。
「やあ、エリサ。今日はお互いに頑張ろうな」
彼の――エリルフォンの存在だ。
エリルフォンも、魔法が使えない落ちこぼれだ。しかも少女――エリサの場合とは異なり、魔力がかなり少ないと言う方なのだが。
「煩いわね。あなたにそんな事を言われる筋合いは無いわよ」
「そんなつれない事言うなよ。俺たちは幼馴染なんだからさ」
そう、エリサにとって認めたくは無い事にあたるのだが、エリルフォンと彼女は幼馴染なのだ。
しかも、勝手にエリルフォンから近付いて来るので、落ちこぼれ同士が付き合っているとか、激しく否定したい事が噂される位だ。
それに、落ちこぼれ同士の組み合わせは、あまりにも他者に目をつけられ易い。
特に、上昇志向の高い目立ちたがり屋には格好の餌食だ。
だが、そこはエリルフォンの力が働く。
天然という、何事にも代え難い最強の能力が。
そのおかげで、と言うべきなのだろうか。今まで特にこれと言って、顕著ないじめを受けた事が無い。
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