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「その魔力量がとても少ない君に、召喚なんて出来るのかい?」
エリルフォンの返しを予想していなかったのか、少したじろぎながら更に厭味を言う。
「そうかな。持てる魔力をすべて注ぎ込んでくれれば、出て来てくれるよ、きっと」
「希望的観測だね。実際には出てこない可能性の方が高いのに」
「出てくるって」
しばらく、子供の言い合いが続いたあと、金髪の少年が折れた。
「ふっ、そこでそうやって負け惜しみを言っていればいいさ」
額に汗をかきながらさわやかにそう言う。
その光景を見た全員は、逃げたな、と思った。
表情には出さないものの、エリサもそう思っている。
本来ここにいる理由は彼女にないのだが、なんとなく面白そうだから、という理由だけでこの光景を見ていたのだ。
つまり、言い合いが終わったこの場所にとどまる理由は無いので、彼女はエリルフォンを放って使い魔召喚の儀が行われる中庭まで向かっていった。
「ちょっ、待ってよ。エリサぁ!」
それに気がついたエリルフォンは追いかけて行った。
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