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世界は
"帝国"
"反乱軍"
"天教会"
───の三つの国がそれぞれの勢力を率いて支配することで安定していた。
しかしそのバランスも、帝国の女軍師 <シルフィ・アームヘクア>がいつも散歩がてらに寄る帝国の支配領域である森の中で、『ソレ』を見つけることで一変する。
……それはいつもの習慣のようなものだった。
帝国の軍師として帝国の老王に仕え、政にもいくらか協力しながら国を、王を支えていた。
しかし帝国の仕事も楽なものばかりではない。いくらか息抜きも必要なのだ。
今日もまた、息抜きに帝国近くの森に散歩に出かける。
日の光が木々の隙間から木漏れ日となってやわらかく差し込み、森を明るく照らす。
うっそうと茂っている割りには、この森は明るく、草木の生気に満ちていた。
今はちょうどよい気温だが、暖かくなってくると、かわいらしい小鳥やのうさぎ達が活発に動き出す。
様々な命がふれあい共生していく姿はどこか微笑ましい。
そんな緑と生命によって彩られた森の中を、シルフィ・アームヘクアは悠然と歩いていく。
いつものように、片手に携えた碧くて軽い、有名な匠によって作らせた一枚の扇。
艶やかに風になびく黒髪の美しさはとどまることを知らず。
白く綺麗な肌と、荘厳なる出で立ちと振る舞いは、品のある上流階級のお嬢様を思わせる。
いや事実、シルフィはお嬢様だった。
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