~穿つ~ シリーズ 

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その昔。 7日間で世界を創造した所謂創造神は孤独に耐えかねてか、始めからそうするつもりだったのかは不明だが、一体の土人形を創り上げ、”男”とした。 ”人類最古の人間の誕生である” 後に土人形はもう一体創られ、”女”とされる。 創造神と二体の土人形は全ての始まりの土地{楽園}と呼ばれる場所で平和に暮らしていた。 創造神は男に全てのものへ名前をつける役割を与え、しばらく二体の土人形の様子を見ることにした。 ところが男が与えられた仕事をこなしているうちに、自然と戯れていた女を、一匹の蛇がかどわかす。 蛇の誘いに乗った女は、創造神が大切にし、食すのを禁じていた木の実を食べてしまう。 男にも木の実をすすめ、木の実を食べた二人は、異変を感じ取った創造神によって、永遠に楽園を追放されてしま───。 シルフィ「───以上が、この世を創造した神とそれにまつわる伝記を記した内容にございます」 伽藍とした大広間に二人の人間がいる。 一人はシルフィと、もう一人はナルタ王。 薄暗い広間は『王の間』と呼ばれ、今は二人の人間以外は人払いされ不気味なほど静まりかえっていた。 ナルタ王「うむ。して、シルフィよ。 お前が見たクリスタルに幽閉されていた女。どう関係がある?」 仮にも一国の王であるナルタは、ただでさえ政に忙しい身だが、日頃の信頼から一部下でしかないシルフィの進言は無視するわけにはいかなかった。 シルフィ「……私(わたくし)が思うに……」 しばらくの時を待って、シルフィが進言を続ける。 シルフィ「私が森で見た女はおそらく土人形の一人……」 ナルタ「土人形?」 軍師シルフィのおかしな発言に、思わず言葉を返してしまうナルタ。 ナルタ「土人形は楽園とやらを追放されたのではなかったか?」 当然。王に対する嘘偽りは厳罰処分となる。 そんなものに興味はないとばかりにシルフィが再び口を開く。 シルフィ「これはご無礼を……。 この話には続きがあるのです。陛下」 ナルタ「続き?」 世界を創造した神に土人形にクリスタルに幽閉された女……。 王ともあろう者が少しずつシルフィの持ってきた話に興味が沸き始め、話の続きが気になる子供のように、期待に満ちた声をあげてしまった自分を恥じ、急いで平静を取り繕うナルタだった。
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