リナとアリサ

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 宿題も終わり、時計を見ると18時を過ぎていました。そろそろ伯母さんであるユウナちゃんが帰ってくる時間です。今日はユウナちゃんがケーキを買ってきてくれる予定になっているので、嬉しくて、そわそわしながらヌイグルミを抱いてベッドに飛び込みました。  すると、玄関のチャイムがなりました。ユウナちゃんなら鍵を開けて「ただいま」って入ってくるのに…。部屋のドアを少しだけ開けて台所の方を見ると、お祖母ちゃんは未だ料理の途中のようです。 「お祖母ちゃん、誰か来たみたい」 「え?誰か来たって?」 「うん、チャイムが鳴ったよ」  揚げものをしているのか、必死なのかお祖母ちゃんには玄関のチャイムの音が聞こえなかったようです。 「リナ、悪いけど代わりに出てくれる?」  普段なら、料理の途中でもガスコンロを止めて来客を迎えるのに…。心のなかでブツブツと文句をたれながら、 「はぁい」  と、返事をして玄関へ向かいます。ブカブカのサンダルをつっかけて、 「どちらさまですか?」  と、お祖母ちゃんの言葉を真似て玄関の向こうの人に尋ねます。しかし、なかなか返事が返ってきません。もう一度、尋ねようと口を開こうとした時に、玄関の向こうから女の人の声で、 「早く開けてよー」 (…はぃ?)  とても馴れ馴れしい口調で玄関のドアを叩いてきます。 「鍵を持って無いの知ってるでしょー!!早くー」  声の主は、何を言っているのでしょう。困った私は、お祖母ちゃんに助けを求めに玄関へ上がります。背後で、 「入れてってば、アリサだよッ」  私の目は点になりました。 (アリサ?『間宮アリサ』さん?ママ?)  音を立てないように、そろりそろりと台所へ向かいます。お祖母ちゃんのエプロンの裾を掴み、 「お祖母ちゃん、鍵は開けてないけど…アリサって女の人が来てるみたい」  私は俯いた侭、お祖母ちゃんの顔を見れません。 「何だって…?!リナ、今、アリサって言ったかい?」 「……うん」  ガスコンロの火を止めて、お祖母ちゃんは玄関へ駆け寄って行きました。
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