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◆ ◆ ◆
彼女がずっと寝ていた部屋で、彼女の寝ていたベッドに横になりながら、騎士は焦点の合わない目で天井を見つめる。
一体何が有ったのだろう?
一体何が悪かったのだろう?
いや、何が悪かったのかなんて決まっている。
自分が逃げていたからだ。
逃げているとわかっていながら――何万もの人の人生を抱えるべき立場でありながら、たった一人の女性にかまけて、他の全ての責任に背を向けていた。
騎士はふとベッド脇の机を見た。
そこには封を切った封筒が置いてある。その中身は何度も読み返した。
あの日、彼女が居なくなった時、この部屋に戻ってくると、それはすぐに目についた。
明らかにそうとわかる置手紙。
熱病に侵されてほとんど動けないはずの少女が残した決別の証。
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