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時計の針が一秒毎に時間を刻む。その度にオレの心臓が鼓動を速めていく。
ついに短針と長針が混じ合わり放課後を告げるチャイムが鳴響く。それと同時に立ち上がり扉を開き廊下へ。
周りの生徒が何事かと驚いた顔をしてオレを見るが、そんなのは知ったことではない。
ただひたすら走る。それがオレの今取るべき行動。
「時が見える、これが光速の世界?」
って、そんな馬鹿なこと言ってる場合じゃなかった。興奮し過ぎてテンションが可笑しい。脳内麻薬でトリップ気味なオレ。
ひたすら走りようやく学園の裏庭へと到着。大きく息を吸い込み肺に酸素を充満させる。そして一気に吐き出し真剣な顔を作る。
心臓がはち切れんばかりに、脈打つ。もちろん走ったせいもあるがそれだけではない。
ここに来た目的のせいで、今にも心臓が破裂しそうなほど緊張しているからだ。口に中はカラカラに渇ききって唾さえ出ない。
「よしっ」
このままでいる訳にもいかない。無理矢理にでも気合いを入れ、意を決し桜の樹の下に近付く。それだけのことで鼓動が更に加速するのが嫌でも分かる。
そんな気持ちを悟られないよう、冷静さを装い樹の下に佇む人物へと一言。
「……お待たせ」
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