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昼休みになり、クラス男子の視線に耐え切れなくなったオレは、逃げるように学食に向かった。
学食は大勢の学生で埋め尽くされていた。
洗島学園は県内最大級のマンモス学園であり、一学年15クラスもある。
とりあえず昼飯にありつくため、遥か向こうに学食のおばちゃんが見える長蛇の列に並んだ。
しばらく並んでいると辺りがざわつき始めた。
ざわつきの中心を遠目から見ると、そこには藍那がいた。
「アイツなら、当たり前か」
藍那の美貌ならば仕方のないことだ。
しかし……
「珍しいな、アイツが学食くるなんて」
毎日学食に来ているが、藍那を見掛けたことは一度もなかったはずだ。
藍那はキョロキョロと学食内を不機嫌そうな顔で、誰かを探しているようだった。
もちろん騒いでいる周りの男子には目もくれずに。
しばらくすると藍那は探し人を見つけたようで、不機嫌な顔が一瞬で笑顔になった。
そして足早に駆け始め……ってこっちに向かってくる?
オレの目の前で立ち止まり
「肇見つけたっ!」
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