伝説の樹の下で

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 事の発端は登校時だったんだ。  日差しが気持ち良い爽やかな朝。春風が頬を軽く撫でるのが真に気持ち良い。  そんな朝からやる気無く口を開け、出て来るのは欠伸のみ。眠気が抜けず呆けた頭で通学路を歩く。 「朝から眠たそうな顔してるなぁ、肇?」  オレの隣りを歩く、悪友こと有賀真(アリガマコト)が呆れた顔で呟く。ちなみに肇ってのはオレのことだ。  袴田肇(ハカマダハジメ)花の高校2年生である。 「ん~? そうかぁ? まぁそうかもな。春眠何とかと言う奴だよ」  再び欠伸が込み上げて来る。これといった特徴も無く、平凡な人間の平凡な日常。代り映えしない毎日。  まぁ平和ってヤツだ。  刺激が欲しいと思うこともそりゃあるさ。だからと言って自分から変わろうとまでは思わない。  こちとら宇宙人、未来人、超能力者なんかにゃ全く関わりない一般ピーポーである。  そんなたわいの無い話をしながら学園へと到着。下駄箱を開けると、それは上履きの上に乗っていた。  一通の手紙。  思考が一瞬フリーズ。  こっこれは!? ま、まさか、ラ、ラララ、ラブレターァァ!? 「どーしたぁ、肇?」 「な、なな、なんでもないっっ! オオオオレ、トトトイレ行って来るから先に行ってろよ!」  怪しくどもりまくるオレを不思議そうに見る真を残し、慌ててトイレに駆け込んだ。  
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