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「アナタ、只者じゃないわね」
円佳の纏う空気を感じ取ったのか、藍那は真剣な顔になる。
ゆっくりと構えをとり、徐々に距離を縮めていく。
「主こそ只者ではあるまい?我の射程ぎりぎりを見切り、攻撃を伺っておるのだからな」
こちらも真剣な顔で告げる。
「うふふふふふ……」
「はははははは……」
二人は笑い声を洩らす。
しかし目は全く笑っていなかった。
二人の目は、これから死闘を繰り広げる強敵のみしか映っていない。
なんでオレこんなとこにいるんだろう?
オレは恐怖で動くことすら出来なかった。
何処からともなく風が吹き、二人の間には凍り付くような緊迫した空気が流れていた。
互いに警戒しているのか、徐々に距離を詰めながら隙を伺っているようだった。
そして永遠にも近いような時が流れた後、意を決したのか
「いざ!」
「尋常に!」
「勝負っ!!!!!」
と、二人の掛け声が重なる。
掛け声を発すると共に、互いの身体目掛けて飛び込んで行った!
その刹那……
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
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