伝説の樹の下で

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 震える手で手紙を開くと中には一通の便箋が入っていた。  まだラブレターって決まった訳じゃないんだ、落ち着けよオレ。深呼吸、深呼吸。ヒッヒィフー。はやる気持ちを抑え自分に言い聞かせる。ラマーズ法をしている時点で落ち着いていないことは明白だが。  ゆっくりと便箋を拡げると、女の子らしい可愛い文字が。 『突然の手紙でごめんなさい。 でも貴方にどうしても伝えたいことがあります。今日の放課後に裏庭の樹の下で待ってます』  手紙に穴が開くんじゃないかってぐらい食い入るように何度も読み返す。  よしっ! 完璧なラブレターだ!! うん、間違いない。  オレにも遂に春到来ってヤツですかっ!  ちなみに裏庭の樹ってのは、この洗島学園の桜の樹のことを指す。この樹にはありがちだがある伝説が真しなやかに囁かれている。なんでもこの樹の下で告白したカップルは永遠の愛が約束されるとか。  ……まるで伝説の某恋愛シュミレーションゲーム。ランダム登場な隠しヒロインってどうなんだよ、館○美晴。ちなみに実写映画なんて無かった、無かったんだってばよ!  おっと話が逸れた。つまりはそんな場所に呼び出され話があるイコール愛の告白ってこと。 そうとしか考えられないでしょ!?  
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