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昔の同じ様な場面と違い、そこには少女が立っていた。
スカートを押さえているところを見ると、風で捲れそうになったのだろう。
絹糸の様に細く、艶やかでサラサラの黒髪。
雪の様に汚れの無い白い肌に、平均的な身長ながらもスラリと華奢な体。
桜の花びらの様に、薄く色付き、透明感がある唇。
程よく潤んでいながらも、媚びる事はない意志の強さを称える様な瞳。
その少女は可愛い、綺麗、よりも『凛々しい』という言葉が当てはまるであろう。
俺はすぐ目を逸らしてしまった。
心臓の鼓動がどくんどくん、と早くなる。
手に汗が滲んできた。
息をする事さえたどたどしくなる。
なんだ…これ……?
俺はこんな感情は今迄知らなかった。
この感情を……『恋』と呼ぶ事さえ。
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