それなんてオレオレ詐欺?

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昇降口に向かってウメジと並んで歩いていると、周りの女子達がチラチラこっちを見てくる。 こっち見んな。 「そう言えばさ。」 ウメジが前を見たまま口を開く。 「うん?」 「さっきの子、同じクラスみたいだな」 ウメジがしれっと言い放つ。 「……マジ?」 有り得ないだろ。 これで、もし席が隣とかだったら……。 ――俺が消しゴム落としちゃって、拾おうとしたら、あの子の席の下の方まで行ってて。 それに気付いたあの子が「あ……消しゴム落ちましたよ」 と、あの子が拾ってくれて。 それに俺が、「あ……ありがとう」 とか言ったりして。 顔めっちゃ近くて。 なんか良い匂いとかしちゃったりして、もれなく俺崩壊のお知らせ―― 「無いわ」 「何が?」 ウメジは怪訝な表情を浮かべる。 「いや……なんでもない」 こんな事考えていただなんて言えるか、いや、言えないだろう。一人反語。 「でもさ、架ならイケんじゃない?あの子」 「何が?」 「はぁ……これだから自覚のない奴は困る」 ウメジはやれやれと肩を竦め、俺に耳打ちをする。 「さっきから女子がチラチラ見てんじゃん?」 ……気付いてたんだ、ウメジの奴。 「……それで?」 小声でウメジの次の言葉を促した。
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