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気付くと、俺は桜の木の下に居た。
視界が靄掛かっていて、この世界が夢である事を物語っている。
俺の目の前では、少年が小さくうずくまって時々嗚咽を漏らし泣いていた。
「ねえ、きみなんでないてるの?どこかいたいの?」
「ぐす……ひっく……」
少年は俺の問い掛けに泣きながらも顔を上げた。
涙で目を腫らし、深い悲しみが見て取れる。
そんな表情をする少年を放っておく事が俺には出来なかった。
「おれとあそぼう?ともだちになろうよ」
「……とも……だち?」
少年の瞳には驚きの色。そして俺は言葉を続ける。
「うん、ともだち。しんゆうになろうよ」
少年は俺の言葉に喜びを浮かべた。
「……うん!」
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