それなんてオレオレ詐欺?

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ふと、時計を見て固まった。 入学式は……九時から。 今は……八時半。 「……ウェェェエェェェイ!!」 やべぇぇぇ!!! 初日から遅刻とか有り得ないだろ!? 白銀聖闘士も裸足で逃げ出すような光の速さで、制服に着替えた。 制服は可も不可も無い、普通のブレザー。上着の左胸側には校章である楓の刺繍が施されている。 「ダリャァアアアァアアア!!」 部屋を出て、階段の手摺りを使い一階へ滑り降り、向かいにある洗面所へ辿り着く。 左手でワックスを手早く髪に馴染ませながら、右手で歯を磨く。 普段は出来ない芸当だが、遅刻が掛かってんだよ! 背に腹は変えられない! 今日は、母さんはどうしてもパートの仕事が休めず、もう家には居ない。 八時には家を出た筈。 「何故起こしてくれないぃぃ!!」 誰も聞いてはいないが、叫ばずにはいられない。 台所へ向かい、テーブルに用意されていた朝飯からロールパンを一つ取り、玄関で靴を履きながら一口で食べる。 荒々しく咀嚼し、飲み込むと同時に玄関の扉を開け、スルリと飛び出し鍵を閉めて、走りだした。
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