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ウメジのドMスイッチをブッタ切る事に成功した俺は、ウメジと話しながら坂を上り始めた。
話の内容は専ら春休みの事で盛り上がる。
そういえば、ある日ウメジと遊んでいたらウメジが二人組に声を掛けられたんだけど、開口一番に、「何だい?麗しのベイビーちゃん達?」とか言ってたな。
その時はコイツマジで駄目だと思ったわ。
そして雑談を交わしながら坂を登り切り、【楓が丘高校】の校門が見えてきた。
校門を通り過ぎると、そこは桜の木が校舎に向かって真っ直ぐに立ち並び、祝福するかの様に花びらがふわり、と舞い散っている。
頬を撫でる様な優しい風が吹いて、ふと思い出す。
そういえば、紅葉と初めて出会った時も、こんな風に桜の花びらが舞い散っていたな……。
今日と同じ様に、少し風が吹く日で。
「わっ…」
声がして、視線を移すと……。
そこには……。
瞬間だった。
心臓が……跳ねた。
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