黄金色の草原で

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「…ぅ、ぅああ…。」 結城はゆっくりと体を起こした。なにやら執拗に腰の辺りをさすっている。 「…あれ?俺、確かトラックにひかれそうになって…。ってかここはどこだ?」 結城は辺りを見回す。そこは、空は黄金色のもやが薄くかかっていて、背の低い色とりどりの花が一面に咲き乱れていた。 「…きれいだな。ってそれどころじゃない!早く家に帰らなくちゃ。」 そう言って、急いで立ち上がった。 その時、結城の目の前にさらに小学生ほどの子供が立っているのに初めて気がついた。先ほど見回した時にはいなかったはずだ。 「だ、だれ?」 「僕は、あなたのしもべです。」 少年は、ニコッと笑って答えた。 「しもべ?…僕そんなに偉くないけど。」 結城は首をかしげる。 「…その気楽さ、まだ自分の立場を理解していないようですね。」 「…えっ?」 少年は、大きくため息をついてから、言った。 「単刀直入に言いましょう。あなた、死んだんですよ。」 結城はその言葉を聞いてうつむいてしまった。 しばらくの間沈黙が続く。すると、 「そうだったんだ!いや―、ここは何だか現実じゃないような気はしてたんだ。まさかここが天国だったなんて…。」 というバカに明るいような声が飛んできた。 少年は思わず目を細めて呆れてしまった。 「あなた、ずいぶんポジティブですね…。死んだこと宣告されて、こんな元気な人は初めてですよ。これはずいぶん楽しめそうだ…。」 「楽しむ?っていうかお前、ちっちゃいのにずいぶん口が達者だな…。」 「ちっちゃくても、僕はもう328歳ですから。」 それだけさらっと言うと、少年は結城に背を向けて歩き出した。 「ついてきて下さい。これから、あなたの運命を決めます。」 結城はしばらく呆然としていたが、ここにずっといたって何も変わらないと考え、ついていくことにした。 「お、おう…。」 結城は、小走りで花畑を進んだ。
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