学園入学

3/7
前へ
/39ページ
次へ
十日後、アルはいつもより速く目が覚めた。この様な事はたまにあり、原因は感情の高ぶりや極度のストレスが上げられる。今回は前者であると言えるが、彼の場合はそれを上回る物があった。 「ん……、七時半……か?せめて、8時位まで寝てたかったな……」 普段アルは時間厳守、迅速行動を心がけているが、彼の場合は朝、それは通用しない。更にプライベートになるとそれは悪化する傾向にあると言える。学園がプライベートであると言うのは疑問が残るが、ギルドの仕事である任務や依頼に比べれば、プライベートと言っても差し支えない。 「まぁ、仕方ない、入学式だし早めにいくか……」 そう言って、アルは自宅とは名ばかりの質素な私室から出て行った。 学園の門の前、例えるならば凱旋門のような門を通りながらその圧倒的な存在に半ば呆れながらアルは進んでいる。 「デカ過ぎるだろ……、 どこにそんな需要があるんだ?」 こんな事に使うの資金があるなら他国の貧困層に寄付するか、国境付近のギルド支部に支援するとかあるだろう、思うと共に、上位貴族の跡取りも通う学園なのだから当たり前と言う考えもあり、 更には、自らを『全国民の騎士』と公言していた先々代の国王の意志を継ぐ、現国王の騎士として存在する貴族に勢力や力の差から上級や下級があるのは仕方ないとして、 なぜ地位的に考えれば一番下にいるはずの貴族がなぜ国民を虐げるのか、 そこまで考えて無駄な思考だと気ずき、いったん思考を停止して当たりを観察する。 アルの周りには呆れている者、興奮している者、何も感じていない者など多種多様な反応があり、見ていてそれなりに楽しめた。 中には叫びだす者もいたが、流石にそれは場違いだったのか、周りから妙な目で見られていた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1021人が本棚に入れています
本棚に追加