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目が完全に本気だ。
今日の僕はやたら思慮が浅い。さっき怒られたばっかりなのに同じミスを何度も何度も。
バカか僕は。
「ついてきて…くれますか?」
「もちろん! 零也くんのお願いだったら例え火の中水の中! どこまでだって行っちゃうよ」
僕の言葉に納得したらしく上機嫌な散葉さん。
力が回復してないのに危険なんて全く省みずに僕の力になってくれるこの人に怪我なんてさせたくない。
僕が守り抜くんだ。
「……? どうしました?僕の顔に何かついてますか?」
僕が決意を固めていると、散葉さんがやたら赤い顔で僕を見ていた。
「えへへ、零也くんも男の子なんだなぁって思って」
「ど、どういう意味ですか! 僕はちゃんと最初から男の子ですっ!」
「そういう意味じゃなくてね? 今の零也くんの顔がすっごく男の子らしかったからドキッとしちゃったの」
「え、そうですか?」
ちょっと嬉しくて頬が緩むのを感じながら、ん?と首を傾げる。
それはつまり────。
「結局いつもは男の子らしくないってことじゃないですか!」
「バレた! 零也くんが怒ったー!」
そこからの散葉さんの行動は早かった。
華麗にターン。
キラッと笑顔。
そして脱兎のダッシュ。
「はやっ!? ちょっと散葉さん! 止まってくださーい!」
「私を捕まえて! ダーリン!」
言いつつ、その速力は完全に逃げ切る気満々で、結局僕は初めて命先輩の霊力を実際に使って走ることになったのだった。あぅあぅ。
☆
僕たちは政基くんの部屋に集まっての作戦会議を開始していた。
ちょうど散葉さんとの調査結果を話し終えたところだ。
「……おい咲夜」
「ええ。散葉さんですら危険と判断されたとなるとあの線が濃厚です」
あらかじめ何らかの話をしていたらしく命先輩と咲夜さんが顔を見合わせた。
仲直りできたみたいだ。
「あの線ってなんです?」
「……あくまで仮説なんですが、思い当たる妖怪がいるんです。名を、酒呑童子」
「ヤマトタケルにボコボコにされて逃げた八俣之大蛇が人間との間に作った子供ってやつ?」
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