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Ⅱ
「ほ、ほんとにここに公園なんてあるんですか?」
「僕が嘘をつくと思いますか?」
「で、でもぉ…」
黒スーツの少女を連れて、零也は林の中を歩いていた。二人は今、学園の中を散歩していた。咲夜の提案だ。
「大丈夫ですよ。あ、でもはぐれちゃうから手を繋いでてくださいね」
前に散葉を連れてきたときは隣で歩いていたのに離れていってしまったりと、零也以外はここをちゃんと進めないのだ。
だから迷わないように咲夜の手を握る。散葉よりも小さくて冷たい。
「あ…」
「す、すいません。嫌でしたか…?」
「違いますよっ!そんなことを思うはずがないです!ただ…いつのまにか私より大きくなったんだなぁって」
「そりゃあ、ここに来たのは六歳の頃ですしね」
「そうですね。…うふふっ!じゃあはぐれないように腕組んじゃいますっ!」
唐突に笑い出して咲夜は零也に飛びついた。散葉よりも圧倒的に軽いので倒れはしないけど多少よろめいた。
「もうすぐです。がんばってくださいね」
「はいっ!」
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