1.少年の独奏~ソロ~

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 さらさら感を極めた咲夜の髪に指を通しながら、今度は優しく言葉をかける。さっきは強く言い過ぎた。 「僕がはっきりしないから不安になっちゃうんだと思います。でも…それは咲夜さんが悪いことなんて一つもないんですよ?」 「…………」 「……咲夜さん?」  なんの反応もない咲夜に再度声をかけた瞬間。 「ふえっ…」 「えっ!?」 「ふぇぇえん!」  泣いちゃった。  初めてに近い咲夜の涙。零也は一瞬呆然としてしまった。 「ど、どうしたんですか!?ほーら、いい子だから泣き止んでください…」 「ふぇぇえん!零也さんの…バカァ…!」 「えぇっ!?さ、咲夜さん?えっと…ごめんなさい…?」 「咲夜ちゃんて呼んでくれなきゃ…嫌です…!」  咲夜ちゃんは零也が小さい頃に使っていた名称だ。中学校からは咲夜さんと呼んでいる。 「咲夜…ちゃん?」 「うぅぅ…!そうやって零也さんが優しいから…優しくされちゃうから…諦められないんですよぅ…!」
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