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☆
結局、パパが使った力の正体はわからなかった。
わかったのは力を使えなかったのは私やママ達だけではなく、里の人全員だったことと、高まっていたパパの霊力は全部消費されていたこと。
「パパ…起きない…」
「大丈夫よ七海。パパは力を使いすぎただけ。回復したら起きるわよ」
私を励ましているママの方が悲しそうな顔をしてる。さすがにこれじゃあ大丈夫とは思えないのだけど。
「でもなんで私、力が使えないのかしら。七海から見てなにか異常はない?」
「うんー…見当たらないよー…」
私には霊力の流れが見える。だからパパの命に別状がないのも、ママの霊力が以前と変わらずながれているのがわかる。けれどママが力を使えない理由はよくわからない。あのときパパに力を貸していたのは私も同じなのに。
「……なんて顔してるの。せっかくの美人が台無しよ?」
「ふみゅ…」
私をそのおっきなおっぱいに埋めながらママは髪を撫でてくれた。
「大丈夫よ。私は神様であなたのママよ。誰より強いんだから。力が使えなくってもね」
「…うんー…」
パパとは違う甘い匂いも私は大好き。こうされるだけで元気が溢れてくる。
「零也くん、今日は起きなそうだしもう寝よっか? それともママとおしゃべりする?」
「うんー…! 七海、いっぱい寝たからまだ眠くないー…!」
「うふ。じゃあ七海のお話を聞かせてくれるかしら。休みの間もちょこちょこ学校行ってたでしょ?」
「うんー…! あのね…お友達が出来たのー…。前に助けてあげた雨女の時雨ちゃんとね…菖蒲の花の妖精の幸ちゃん…」
そういえばいつもパパ達に抱きついているときはお話してもらっているからこれを話すのは初めてだ。
私ののろのろした聞きにくい話を、ママはニコニコしながら聞いてくれている。
「よかったわね、七海。大切にするのよ? ぜったいによかったって思うはずよ。零也くんと政基を見てればわかると思うけどね」
「うんー…!」
そのあともママは会話が苦手な私のとりとめがないお話を聞いてくれた。パパがいないのは寂しいけど、楽しい時間を過ごすことが出来た。
明日はどんな1日になるかなぁ…。
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